性能

樹脂散布量と性能の関係

ホイールトラッキング試験後の透水量

樹脂を散布した排水性舗装表面の、経時変化に伴う透水性能を評価するため、ホイールトラッキング試験機を用いて、供試体表面に車輪を所定回数通過させた後に、透水試験を実施しました。

透水量の測定には、可搬式現場透水試験装置を用い、15秒当たり透水量で比較しました。

樹脂で強化していない供試体は、車輪通過回数の増加に伴い透水性能が著しく小さくなっていきます。これは車輪の通過により舗装表面が「空隙つぶれ」を起こすことが原因と考えられます。

これに対し、樹脂強化を施した舗装体の透水機能は、長期間保持できるといえます。

チェーン式ラべリング試験結果

樹脂強化を施した舗装体が、チェーンを装着した車両から受ける摩耗作用に対して、どの程度の抵抗性を有するか調べるため、チェーン式ラべリング試験を実施しました。

ラベリング試験条件
試験温度
(℃)
試験時間
(分)
共試体の往復運動
(往復/分)
チェーンの回転運動
(回/分)
-10+-1 90 60 200

高粘度改質アスファルトを使用し、空隙率が20,25%と変わった場合、空隙率の小さい方が摩耗損失重量は少ない結果となっています。

しかし、空隙率25%でも樹脂を散布したものは、空隙率20%で樹脂を散布しないものに対して、摩耗損失重量は約60%まで減少しており、樹脂散布の効果が認められます。

さらに、同じ空隙率の舗装体で樹脂の有無による摩耗損失重量の比較を行うと、樹脂を散布したものは、約40~50%まで摩耗損失重量が減少していることから、樹脂強化を施した舗装体は、タイヤチェーンによる摩耗に対して強い抵抗性を有していることがわかります。

強制空隙詰まり試験

10gの空隙詰まり物質をマーシャル供試体(空隙率23%)に流し込んだ後、散水を行い、その後乾燥させます。5回繰り返して行い、5回ごとに透水能力の低下を測定しました。空隙詰まり試験の回数は30回までとしました。

試験に使用した空隙詰まり物質の粒度
粒度 構成比
0.250~0.425mm 15%
0.106~0.250mm 20%
0.075~0.106mm 25%
0.075mm以上 40%

高粘度改質アスファルト混合物(樹脂無)は流し込み回数25回で殆ど透水しない状態です。一方、樹脂強化を施した供試体(樹脂有)は流し込み回数30回でも60%程度の残存透水率を示しています。

樹脂強化を施した供試体未処理の高粘度改質アスファルト混合物に較べて空隙詰まりの抑制効果が高いことが分かります。

カンタブロ試験結果

樹脂強化を施した舗装体の飛散抵抗性を調べるために、カンタブロ試験を行いました。なお、この供試体はマーシャル試験用供試体の周囲全面に樹脂を散布したものです。

カンタブロ試験条件
共試体 寸法 マーシャル試験用共試体(両面50回突)
空隙率 20%
放冷時間 12時間以上
養生条件 20℃、20時間
試験機 機種 ロサンゼルスすり減り試験機
回転速度 30~33回転/min
回転数 300回転

カンタブロ試験結果から、骨材の飛散に対して、樹脂散布による強化の有効性が顕著に認められます。